トルテとクッキーのおはなし - 18
告白
クッキーが戻ってきた。やはりというか、隼の剣の情報は得られなかったらしい。疲れた様子で荷物を放り出して寝床に顔を埋めたが、ん?と言いながらむくりと顔を上げた。
「なんかいい匂いする」
「さっきまでプリンが来てた。そこで座って話したぞ」
「へぇ、プリンがこっちに来るなんて珍しいね。……どんな話した?」
聞いていいか少し迷ったような間があく。こっちも返事していいか迷う。そういえば以前に話した時、結局好きか嫌いかの返事をぼかしたままだ。これが好きと言っていいなら…言うしかない。
「俺がクッキーをどう思ってるかって聞かれた。仲間としてというより、一人の人として」
クッキーはふぅんと頷きながら聞いている。……絶対意味がわかってない。本当に時々クッキーが心配になる。
「…まぁ、なんだ。プリンに言わせれば、俺はクッキーのこと好きらしい」
「え?」
なぜその方向に話が向いたのか、という顔をされても。
「もしお前が望むことがあるなら、危険なことでない限り叶えたい。もちろん嫌なら何もしない。そういうのを好きっていうんだと」
「……」
ぽかんとした顔で自分を見ていたクッキーの顔が、だんだんと赤くなっていく。この反応も何回見ただろうか。話の流れが唐突――少なくともクッキーにとっては――だったのと、告白ともつかないような言い方をしたからか、クッキーは驚き戸惑っていた。
「トルテが…僕を好きだって?」
「嫌か?」
「嫌なもんか……嫌なもんか!」
感極まった様子で飛びつかれる。ふわふわの髪が頬をくすぐった。この髪を撫でるとぬいぐるみみたいで気分がいい。
「僕がしてほしいって言えば何かしてくれるの?」
「……無理難題じゃなければな」
「じゃあ、好きって言って」
お安い御用。
「好きだよ、クッキー」
クッキーがふにゃ~と表情を緩ませた。よく考えたら、面と向かって好きだというのは初めてか。まだ実感が持てないでいると、ふにゃふにゃした顔のままクッキーがこちらを見上げる。
「トルテ、もう1個いい?」
緊張感ないな、と思いつつ頷くとクッキーにドミノのように寄りかかるまま押し倒される。
「絶対、ハーゴン討伐を成功させよう。誰も欠けずに」
不意を突いて出た真剣な言葉に、一瞬開きかけた口を閉じた。この流れでそれを言うか。黙って肯定しようかと思ったが、起き上がってクッキーの額を指で弾いてやった。
「いたい」
「ばーか、そんな大事な事俺だけに約束させんな。プリンも一緒だ」
クッキーは額を押さえながら、悪戯っぽく笑う。
「へへ……それもそっか。なら今のなし!代わりにこれで」
あっさりと前言を撤回するが早いか、クッキーの唇が唇に触れる。一度真面目な空気にした後でこれなんだから、調子が狂う。後頭部を掴んで引き寄せ自分も口を吸ったら、クッキーが嬉しそうに目を閉じた。やっぱりこの髪は柔らかい。
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